『成瀬は天下を取りにいく』:滋賀愛が半端ない

本の紹介

『成瀬は天下を取りにいく』は、2023年に宮島未奈によって書かれた青春小説で、滋賀県大津市を舞台に中学生から高校生へと成長していく主人公・成瀬あかりの冒険と挑戦を描いています。独特の視点と大胆な行動力を持つ彼女が、周囲にどう影響を与えていくのか、そしてどのようにして「天下を取る」ことを目指していくのか、その魅力に迫りましょう。

ろんすけ
ろんすけ

2024年の本屋大賞作品です!めっちゃ面白いです!みんな成瀬あかりのファンになること間違えなし


あらすじとキャラクター紹介

主人公の成瀬あかりは、滋賀県大津市に住む「変わり者」と周りから見られる中学生。彼女は自分なりの価値観を持ち、時には大胆で、時には奇抜とも言える行動に出ます。物語は彼女の中学2年生から高校3年生までの成長と、様々な挑戦を描いた連作短編集の形で進みます。

例えば、あかりはコロナ禍で閉店予定の西武大津店に毎日通い、ローカル番組の生中継に映り込むことを目標としたり、漫才コンテスト「M-1グランプリ」に出場を決意する場面もあります。漫才コンビ「ゼゼカラ」を幼馴染の島崎みゆきと組み、地域社会や友人たちとともに小さな目標を達成していくことで、大きな「天下」を目指すあかりの姿が描かれます。

彼女の行動は周囲を巻き込み、時には迷惑がられたり、賛否両論を引き起こすものの、そのひたむきさと純粋さに触れる人々は次第に応援するようになります。これが『成瀬は天下を取りにいく』の大きな魅力であり、あかりというキャラクターの鮮烈な個性が作品を引き立てています。

「天下を取る」とは?-成瀬あかりの目標

作中であかりが「天下を取る」と表現するのは、権力や財産を得るという意味ではありません。むしろ、自分らしく、自由でありたいという願望が込められています。自分の信念を貫くこと、周囲に左右されず自分のペースで夢を追いかけることが、あかりにとっての「天下を取る」という意味なのです。

あかりの挑戦はどれも、外見的には奇抜で他人には理解し難いかもしれません。しかし、その内面には大きな情熱と、やり遂げたいという強い意志が宿っています。彼女の「天下」は、成績や結果で計られるものではなく、むしろ、挑戦をやめずに突き進むことで手に入れられるものです。

滋賀県大津市を舞台にした地域色豊かな青春物語

本作は、滋賀県大津市を舞台にしており、地元の風景や地域文化が物語に深く織り込まれています。これは単なる物語の背景ではなく、あかりにとって「地元愛」が彼女の原動力となる要素でもあります。西武大津店の閉店に思いを寄せ、地域の中での人間関係を築き上げていくあかりの姿は、彼女が「天下を取る」という大きな目標に向かって進む上での重要な部分を担っています。

また、作中ではローカル番組の生中継に映りたいという目標や、M-1グランプリへの挑戦など、現実の社会の中で彼女がそのまま「自分」を表現していく方法が描かれており、その過程で地域の人々と触れ合うことで新たな発見や学びを得ていきます。地域色が溢れるこの物語は、地元の文化を愛する若者たちや、地域の一体感を感じさせる要素が満載です。

魅力的なエピソードの数々

本作には、あかりの大胆な挑戦とその成長を描いたエピソードがいくつも収録されています。いくつか印象的なエピソードを紹介します。

1. 西武大津店への挑戦

あかりは、閉店予定の西武大津店に毎日通うことを決意します。ローカル番組の生中継に映りたいという突拍子もない目標を掲げ、実際に映り込むために様々な方法を試みるのです。このエピソードは、コロナ禍での地元の変化や閉店という時代の流れに逆らうように、あかりが自分の存在感を地域社会にアピールしていくという挑戦です。

2. M-1グランプリへの挑戦

あかりは、幼馴染の島崎みゆきと漫才コンビ「ゼゼカラ」を組み、M-1グランプリへの出場を決意します。お笑いが大好きなあかりにとって、この挑戦は単なる趣味ではなく、自己表現の一つであり、観客や審査員の前で全力を尽くすことで、また一歩自分の「天下」に近づこうとする姿が描かれています。相方のみゆきとの友情や、お笑いにかける情熱、そして目標に向かって突き進む姿は、読者に勇気と元気を与えてくれます。

青春小説としての深いテーマ

『成瀬は天下を取りにいく』は、単に青春を描いた小説ではなく、自己成長や友情、夢と現実の狭間に立つ若者たちの葛藤が描かれています。主人公の成瀬あかりが持つ「自分らしく生きる」というテーマは、読者が自分自身の生き方を見つめ直すきっかけにもなり得るでしょう。

特に、周囲に「変わった子」と思われながらも、あかりが自身の信念を貫く姿勢は、現代の若者たちが抱える「個性を出すことへの不安」や「社会との違和感」といったテーマにも通じています。あかりのように、他人の目を気にせず自分らしく生きることができれば、どれほど自由で幸せな人生になるかを、作品を通じて教えてくれるようです。

受賞歴と評価

本作は、第39回坪田譲治文学賞や2024年の本屋大賞を受賞し、幅広い読者層から評価を得ています。また、続編『成瀬は信じた道をいく』も出版されており、シリーズとしての人気がさらに高まっています。さらに、2024年5月からはWEB漫画誌『コミックバンチKai』にてコミカライズ版も連載が開始されており、あかりの物語はますます多くの人々に親しまれるようになっています。

まとめ

『成瀬は天下を取りにいく』は、奇抜でありながら真っ直ぐな主人公が織りなす青春小説です。誰もが一度は悩んだり、壁にぶつかったりする時期を、あかりのように自分らしく、勇敢に突き進む姿に勇気をもらえるでしょう。この物語は、彼女の周りで繰り広げられる様々な人々との交流や、あかりが持つ情熱の豊かさによって読者に感動と勇気を与えてくれます。

あかりの「天下を取る」という目標は、きっと読者にとっても大切な「自分自身の天下」を見つける手助けをしてくれるはずです。

ろんすけ
ろんすけ

実写化するなら配役はだれだろうと想像するのも面白いです!

実写化期待してます!

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