『新世界より』は、貴志祐介による長編SF小説で、1000年後の日本を舞台にしています。物語は、念動力を持つ人々が暮らす社会を描いており、上巻はとくに主人公の渡辺早季とその仲間たちが成長する過程で、社会の裏に隠された秘密に気づいていく様子が描かれています。
世界観の作り方がすごくて、
情景が目に浮かびどんどん物語引き込まれます。
小説が先だったかアニメが先だったか、わすれましたがどちらもおすすめ
あらすじ
物語の舞台は、神栖66町という架空の集落です。主人公の渡辺早季とその仲間たちは、念動力を持つ子供たちとして成長していきます。彼らは学校で念動力を学びながら、次第に社会の裏に隠された真実に気づき始めます。消えた子供たちの謎や、外の世界に存在する危険な生物「バケネズミ」との遭遇を通じて、理想郷の裏に潜む恐怖と対峙することになります。
現在の茨城県神栖市の1000年後がモデルになっているようです。
主要なキャラクター
渡辺早季(わたなべ さき)
「新世界より」の主人公であり語り手。町長の父と図書館司書の母を持ち、好奇心旺盛で強靭な精神の持ち主です。平和な日常がバケネズミたちの抗争や災厄によって一変し、その中で彼女の成長と葛藤が描かれます。
秋月真理亜(あきづき まりあ)
早季の幼馴染で、美しい赤い髪を持つ少女です。物語中盤で守と結ばれ、彼との関係が重要な役割を果たします。
朝比奈覚(あさひな さとる)
早季の幼馴染で、陽気で悪戯好きな性格の少年です。14歳の時には瞬と恋人同士でした。
青沼瞬(あおぬま しゅん)
非常に聡明で大人びた少年。早季と幼馴染であり、物語の初期では覚と恋人同士でしたが、彼の内面的な葛藤が物語に深みを与えます。
伊東守(いとう まもる)
繊細で儚げな精神の持ち主で、友愛園出身。呪力を用いた絵画の名人であり、その才能で真理亜への恋心を表現していました。最終的に真理亜と結ばれます。
登場する不思議な生物
バケネズミ
人間と同じくらいの知能を持ち、社会を形成する生物。人間に従属し、労働力として使役されていますが、物語が進むにつれてその関係性に変化が生じます。
ミノシロモドキ
先史文明が遺した自走型端末で、図書館の役割を果たします。主人公たちが過去の歴史や禁断の知識を知るきっかけとなります。
風船犬
バケネズミが使用する生物兵器。風船のように膨らみ、爆発することで敵を攻撃します。
悪鬼と業魔
人間の中に存在する恐ろしい存在。悪鬼は呪力を持つ人間が暴走し、他者を無差別に殺戮する存在。業魔は呪力が異常に漏出し、周囲のものを異形化させてしまう存在です。
主要な物語のながれ(上巻)
学校生活
早季たちは、学校で呪力の訓練を受けながら、日常生活を送っています。しかし、学校では厳しい管理体制が敷かれており、規則を破ると「消える子供たち」がいることが示唆されます。
ミノシロモドキとの出会い
夏季キャンプ中、早季たちはミノシロモドキという自走型端末に出会います。ミノシロモドキから、彼らは過去の歴史や社会の秘密を知ることになります。
禁断の知識
ミノシロモドキから得た情報により、早季たちは自分たちの社会が抱える暗い秘密や、過去の恐ろしい出来事を知ります。これにより、彼らの世界観が大きく揺さぶられます。
バケネズミとの遭遇
早季たちは、バケネズミという知能を持つ生物と遭遇します。バケネズミは人間に従属しているものの、彼らの存在が物語の緊張感を高めます。
結末への布石
上巻の終わりでは、早季たちは自分たちの社会の真実に直面し、これからの冒険に向けての準備を始めます。彼らの旅は、さらに多くの危険と謎に満ちています。
主要なマントラ
『新世界より』の物語において、マントラは非常に重要な役割を果たします。マントラとは、呪力を発動させるための精神的なトリガーであり、集中力を高めるために使用されます。
「我は汝、汝は我」
このマントラは、呪力を発動させる際に使用される基本的なフレーズです。自分と対象物を一体化させることで、呪力をより効果的に発揮することができます。
「心を無にせよ」
集中力を高め、余計な雑念を排除するためのマントラです。呪力を使用する際には、心を静かに保つことが重要であり、このマントラがその助けとなります。
「力を我に」
呪力を最大限に引き出すためのマントラです。特に緊急時や高い集中力が求められる状況で使用されます。
作品の魅力
理想郷の裏に潜む謎
物語は、神栖66町という一見平和な集落で始まります。主人公の渡辺早季とその仲間たちは、念動力を学びながら成長していきますが、次第に社会の裏に隠された秘密に気づき始めます。消えた子供たちの謎や、外の世界に存在する危険な生物「バケネズミ」との遭遇が、物語に緊張感を与えます。
魅力的なキャラクター
早季をはじめとする主要キャラクターたちは、それぞれが独自の魅力と役割を持ち、物語を豊かにしています。彼らの成長や友情、そして困難に立ち向かう姿が感動的に描かれています。特に、天才的な念動力を持つ青沼瞬や、冷静沈着な朝比奈覚など、個性豊かなキャラクターたちが物語を彩ります。
深いテーマ性
『新世界より』は、人間の本質や倫理、社会の構造と管理、成長と友情といった深いテーマを扱っています。念動力という強大な力を持つ人々が、どのようにその力を制御し、社会を維持していくかが描かれており、現代社会にも通じるメッセージが込められています。
緊張感あふれるシーンが続くため、一度読み始めると止まらなくなること間違いなしです。休日前夜に読むことをおすすめします。
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